2018年2月23日金曜日

2017年秋くらいの短歌(1) 夜更けのコーラ

暖房の効かない部屋と詩を読んで頬をゆっくり撫でる静寂

もう二度と会えない人に教わった言葉聞くたびうすらさびしい

出来るだけ忘れずにいてほしいから悪い思い出ばっかり作る

単純な日々言葉たちことことに煮え立つジャムの湯気で曇って

淋しいと言葉に出して繰り返すドミノ倒し今日明日その先

ショーウィンドー越しに眺める人々へいろんな不幸背負わせてみる

抽斗の多くないこと一人きり得意になれず夜更けのコーラ

謝罪ってそれも残酷すぎるだろうそうして削除される私は

吹き荒れる嵐に慣れて左手のささくればかり気にして彼岸

繰り返すことに毎回吐き気してさびしくなってまた繰り返す

2018年2月16日金曜日

2017年夏くらいの短歌 喧嘩をしない

一人には多すぎるお湯沸かしては捨てるそういう小さな呪い

社会人として言葉にできないと無意味と知っているがさびしい

雨が降る夜の水気で失意とか失望なんかを膨らませてく

性的の意味は知らない人の喉しろいそれから鮮やかな影

夕立は罪悪感を強くするいつか私を連れてってくれ

大人だし知らない温度の人たちと喧嘩をしないしませんしない

国道をまだら染めてく雨の跡わたしの価値はわたしが決める

お別れの時に誰もが意図せずに呪う幸せ限定として

酷すぎる孤独ひとこと純粋に一人の人と通じ合うこと

緩慢な自殺だというその紫煙わたしより先に死なないでほしい