2017年8月11日金曜日

2017年6月の短歌 あざらしになりたい

万人の上に雨風当たり散る弱い傘握り行く人もいる

コンビニで棒付きアイス買ってみて夜へ溶け出す我がディストピア

毎日を消耗してもしなくても勝手に死んでく夢見る時代

夏の部屋大量発生する私いかん容易に死にたくなっては

恋人の皮を剥いたら他人だと分からないなら泣かないでくれ

アア、なんて目覚めたような声をして忘れられたら死んじゃうくせに

あざらしになりたいかわいいふわふわの愛されがちな何かになりたい

傾いた月の角度に首曲げて自分の道を正確にする

思い出がきれいだったらそれだけで生きていってもいいと思った

苦しめよもっとみにくく苦しめよそういう価値の元にいるなら

西日浴びぼそぼそ生きて床にいる流しに枯れたあじさいもいる

生きるのはつらい、とか言う人肌に小雨は触れて絹にぬくまる

顔色の悪い魚と隣り合う車窓から見る水槽の雨

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