2016年6月24日金曜日

2016年5月の短歌(2) 花捨てる宮廷


振れる手に謝罪を返すつつましく同じ惑星住んでる僕ら

春先に朽ちてしまった花捨てる宮廷みたいなごみ箱の中

過ぎた事ばかりで弱る善き人の心膜になりたいと思う日

面前で口角上げ過ぎ悪態をあいにく頭が可愛いもので

親指と人差し指をLにして足首からの一つ半分

猫の声、自販機の音、夜深く頭の中に自分が溢れ

聖歌隊列の後ろをついていくあなたは私じゃないのだろうし

たくさんの私の時間をあげるからあなたの時間を少しください

オムライス皿に盛り付け果報者どうにかこうにか感じる心

2016年6月17日金曜日

2016年5月の短歌(1) 巻尺の限度


誰からも振り返れない溝にいて雨は少しも溜まれやしない

夏が来て気が狂うような夏が来てまた気が狂うような恋をするのだ

なあ真昼過ぎたことなら美化をする汗に濡れてる白い開襟

後味の悪いすべてを噛み砕く赤い可愛いリンゴキャンディー

巻尺の限度を決めたその日からビッグフットは絶滅をした

絶対に壊れやしないと知ってるし私は君を好きなんかじゃない

今日もまた怖い顔した夜が来た女の笑い声か悲鳴か

息継ぎの出来ない場所に一人いる積み上げたままの本の塔たち

花嫁のヴェールみたいにきれいだと思う喫煙室の天井

永遠に並行になる線を引く好きになるたび歪ませてみる

2016年6月10日金曜日

2016年4月の短歌(2) 吠えてみてくれ


揺らぐなら私の方へ傾きなどうにもこうにも重たい頭

もし人が猫のごとくに柔らかく愛らしかったら憎むのだろう

与えるは愛で欲しいは恋という壊したいのは何だというの

花贈る人に知らせてくれないか食えないだけの気持ちを思う

淋しいの検索結果本日の孤独は割と上出来である

争いで滅んだ国の城に住む狼みたいに吠えてみてくれ

日が射して虹の色見る床の上ひとりでえづく自家中毒者

安らかな気持ちで死にたい安らかな気持ちで毎日生きてもみたい

天秤の片方だけが重たくて何処にもやれぬ気持ちばかりが

白日のもとに晒され幼児期はかわいそうなまま澱だけ残る

襟元は血ばかり赤の色は濃く意味なんて無く生きてていいか

2016年6月3日金曜日

テーマ「笑」 うたらば第94回

たらばさんで、「笑」というテーマで
短歌募集をされていました。採用歌で気になったものをご紹介。

笑点もやがては朽ちていくように永遠なんてないのだと知る
 (青木健一さん)

「絶対に笑ってはいけないのね」と真顔で年を越している母
(関根裕治さん)

日常生活の笑ではなく、双方テレビ番組、それも大好きな。
その中にある悲喜劇も含んでて、どうにも好きなお歌たち。

余談ですが、桂歌丸師匠は噺家として途方もなく
色気がありますよね。立ち居振る舞いも近くで見てみたい。


自分は下記を投稿。

誰にでも優しいんだと知っている馬鹿だと言うとそうねと笑う

ああこれは戦い方を知っている目だけで笑う悪い女だ

笑っててほしいと思う浅はかに水で作ったココアはまずく