2016年5月27日金曜日

2016年4月の短歌(1) ひまわりのように


絵に描いた幸福なんて吐き気して途方もなくも憧れている

真実を欲しがるときにくれないね嘘が欲しいときためらうくせに

撃鉄を起こせ我等を阻むもの蹴散らせ行けよ葉桜の道

蟻の巣に流す泥水うつくしく不幸自慢をさせてあげるね

スイッチを入れる押し込むかき回すどうでもいいことあなたも一緒

わたしより先に死なない約束をしてよ嘘でもついてていてよ

ひまわりのようにあなたを買いかぶる黄色い色の幸福なこと

街角は何て冷たさ灰色に心のどこかで安らいでいる

世の中のきらいきらいの連続で過去も未来も見えないままに

幕間にカーテンを引く勢いへ、どうかどうにか熱を冷まして

楽しくてぬるい熱持つ夢を見て検索窓に打ち込む縊殺

2016年5月13日金曜日

2016年3月の短歌(2) 脳内会議

太陽になり得るような人もいて際立つ影の美しいこと

酒注ぐ器はすべて欠けているこんな夜でも一人で迷子

想像のしやすい地獄を覚えとく脳内会議の窓際の場所

わかりやすく黄色い色の幸福を壊してみたくて塗りたくる黒

語り合う夢の温度が違うだけ受ける追い風強く、強くて

鳴るはずのない番号の着信音変え一人遊び上手に下手に

ピクニック行くことないけどでもきっと陽にサンドウィッチきれいでしょうね

そういうの報いと言って否定する赤い太陽眼裏焼いて

この度は妥協ばかりでごめんなさい多分絶対すっごく好きよ

ははおやはわたしのことをまもるけどわたしのちちをころしはしない

電源を落として触れる詰めた襟犠牲者づらを悼んであげる

憂鬱は甘い匂いを漂わせ油断してるとほら、食われるぞ

名を呼んでまぶたを伏せるその余白世界は今日も更新される

2016年5月6日金曜日

2016年3月の短歌(1) エログロナンセンス


茹でたのか炒りか焼きかですれ違う玉子サンドの決闘を待つ

生き方のまともじゃなさを思い知り茹で卵の殻きれいに剥けた

血の話骨肉のはなししてたっけあなたがたとの私の差分

側溝に立つ湯気淡く猫ぼかし冬が寒くて幸せだけど

醜聞のようにも映る好意ならホットケーキに名前を書くよ

感情も頭も全部痛いのは冬が終わって春がくるせい

どのくらいの人が許しているかしら殴りつけても殴られること

繰り返すきつい言葉の応酬が性行為じみて笑える夜だ

概念と戦いながら夜を往くみじめなほどに強い足音

目の回る展開エログロナンセンス大団円って言葉が好きよ

端々へ壊死した身体散らかしてどうか今日こそ生きてしやまん

あああもう土足厳禁だと言うの何回めなの私の心

最低って自称を振ってかしずく日たぶん続ける最低な日々