2015年9月25日金曜日

2015年8月の短歌(2) 合歓の木の

合歓の木の花重たくて細い枝そういう愛情だった気がする

あんなにも焦がれた終わり始まってきらきら光る夏の鱗粉

可愛い目可哀想な目うるさい目ゆるされたくば靴でも舐めろ

柔らかい笑顔の下にある雪に手枷足枷縛られている

お互いに布団の上で死ねないねそういって笑う女ともだち

大切にして舐めとって酷くして壊す願望二律背反

仕方なく閉じる第一ボタン位置せめてムカつく笑顔でいてよ

夏は嫌い毎朝死にたくなるような冷たい冬の到来を待つ

エクスクラメーションマーク繰り返す自意識過剰な下品を愛す

喜びと怒り哀しみ楽しみとあなたを好きになってよかった

灰色の平たい雲の端にいる甘く途方に暮れてもみたい

2015年9月18日金曜日

2015年8月の短歌(1) 花を吐く

何もかも削ぎ取るみたく吐く呼吸生きているのは楽しいですか

幸せになりたいだけだ捨てられた子犬に人の名前名付けて

掬うなら金魚じゃなくてそこらへん歩いてるだけ女の子たち

みにくいと認めてしまえ感情は打算の海で静かに凪いで

嬌声の出るようなことしでかしてビル間を走る剥いだ妄想

謝罪から入る告白おとといに来やがれだとか言ってほしいか

すべからく向日性の真実を口に出したら腐ってしまえ

余白など目の前にあり酒を飲むあなた方には唾を吐きたい

毒現のかわり綺麗な花を吐く病気になって埋もれて死ぬの

境界がなくなるように溶ける夏だれもそばには寄らないでいて

勝ち負けを決めないだけの繋がりできみの歯笛は今日もへたくそ

日曜の廃品回収甘い声どうかわたしを連れてってくれ

2015年9月11日金曜日

テーマ「夢」 うたらば第82回

たらばさんで、「夢」というテーマで
短歌募集をされていました。採用歌で気になったものをご紹介。

夢を見よう(※布団でじゃない) 未来への地図を描こう(※布団にじゃない)
(あみーさん)

真鍮の蛇口を夢で締め忘れしずかに沈む遠くの小島
(ユキノ進さん)

コミカルなのとロマンチック系に分かれる中で、
好きだ、と素直に思えた二首です。
有本利夫や舟越桂の作品のような他人の夢。
覗き見する悪趣味は人類共通の欲求だろう。


自分は下記を投稿。どうにも作れず過去歌投稿。で、不採用。
ずさんが過ぎる最近。


メロドラマみたいな夢を見てしまうそして卑屈な自分が愛しい

怪獣は夜になったらやってくる玄関ドアにもたれて待つよ

新しい生き物になる何もかも許せるような生き物になる

2015年9月4日金曜日

過去の短歌 お願いDJ

ダイヤルを3に合わせて引きこもるお願いDJ絶望をくれ

柵の上歩く少年夢見がち生きているから壊したくなる

誰からも呼ばれる名前を持っていてさびしさだけを積み上げていく

眠り付く目蓋の肉の膨らみよ他人と暮らすことのさみしさ

肉厚なふともも好む虫なんだストッキングを裂いてもいいか

生活は隣り合わせで眠る時溶け合うように成り立っている

絶対を求めて迷うこの指の第二関節お前が欲しい

産む性と産まされる性揺らがせて板書の「避妊」ノートに写す

雨の中捨てられた生き物みたく擦り寄られては傷付いていく

生贄の山羊の目をしてメリーメリーゴーラウンドは君をさらって