2015年6月26日金曜日

題詠blog2015の事(4)

031:認
昼どきの歯磨き粉からドブの味乙女の口は認めはしない

032:昏
そのくらい嘘でもいいと言えよホラ黄昏の中顔が見えない

033:逸
簡単に常軌逸する日々がある泣くたびに傷増えますように

034:前
目の前に無限の可能性があり引き返せないあまいまどろみ

035:液
液状化してとろけてしまうもし君が全知全能ならばよかった

036:バス
オリオンは35度に傾いてバスは終点さらばさよなら

037:療
失敗に荒療治でも必要と連れ出す犬のか細い怒号

038:読
軽やかに欲求不満のせいにして読もうはるかな八甲田山

039:せっかく
せっかくのお休みの日に火を消して知らない都市の伝説を聞く

040:清
清らかな一票なんて言葉なぞ皮肉なんでしょ砂漠のような

2015年6月12日金曜日

2015年5月の短歌(2) ファンデーションの

日当たりの良いベランダに枯れていく色の分からぬサボテンの花

舐めとってファンデーションの味見して汗で混じれば情欲になる

茎製の小さな檻を作り出しこぼれる花はふにゃふにゃ笑う

贅沢は尽くし尽くして欲を言う透明な犬飼ってみたいの

水底の深い緑が恐ろしい巨大な臓腑ただ一人きり

細い首太陽からも隠したい知っているのは私だけでいい

歌ごえははるかはるかに伸びていく鯨になって壊す太陽

ここに居て良いよの許可が欲しいです煉瓦の家を積み上げるから

生き物としての毎日過ぎていき生野菜サラダ雑草の味

順繰りに割れた風船ひけらかす夏はいくらも閉じてしまうよ

傘の骨にわかたわんで折れやすく小さなテロル台風のあと

均衡の取れた和菓子を食んでいる暴君のごと溺れる夏は

2015年6月5日金曜日

2015年5月の短歌(1) メンソールタバコ

はらはらと歌うようにも溢れ落つ花びらのごと溶けていくきみ

金曜日なのに死にたい消えたいと願う目の前終電車来て

迎え撃つ来てすらいない終末を鳥肌立てて迎え撃つのだ

あじさいの冷たい青は突き放す消え去るならばどこへ行こうか

メンソールタバコのせいでせっかくのあなたのキスが死ぬほどまずい

絶望は足並み揃えて行儀良くピアノ黒鍵弾かれている

青く浮く血管なぞる優しさと歯型を付ける野蛮の秩序

毎日は干からびるほど容易くてぬるくてまずい炭酸の水

オープンザドアーあんたが思うほど人生甘くは無いはずだから

一、二ィの、三番四番五、六番どうでもいいから好きって言って