2015年5月29日金曜日

題「肉」 歌会たかまがはら4月号

歌会たかまがはらさんで、2015年4月号「肉」というお題で
短歌募集をされていました。採用歌で気になったものをご紹介。

俺が俺が隅でじっくり育ててた特上カルビをお前はお前は
(西村湯呑さん)

桜桃のくれなゐ眩し教科書の太宰はひたひに肉と書かれて
(門脇篤史さん)

お肉好きですか?と聞かれて大好きです、と答える人に
好感を抱いてしまう。肉食動物としての根源を見るからかもしれない。
それにしてもゆでたまご先生の功績ってすごいですよね。

自分は下記を投稿。採用・批評頂いたのはとても嬉しかった。

外国の解凍肉の赤黒さ病葉のごと蝕んでいく

包丁で刺されたらきっと痛いねと深夜プロレス君と見ている

幸せと言ってみやがれ売られゆく仔牛の暗い瞳見ながら

色校に乳房の肉を指定する赤鉛筆の硬い爪先

持つべきと持たざるべきを逡巡す赤子てのひら詰まってる肉

2015年5月15日金曜日

2015年4月の短歌 ジャンプ片手に


エイプリルフール、だなんて笑う人ぜんぶ嘘ならどんなにいいか

日陰しかないような場所探しては弔い文句呟いてみる

シャツの襟はだけたままで歩こうか今日も淋しい追い風が吹く

穏やかに互いの屑をぶつけ合う本当はきみ、私の神だ

山百合のまだらのように美醜あり一秒一瞬永遠になれ

すぐばれる距離ではかない嘘をつく掌の骨折ってやりたい

コンソメを溶かして作るオムライス隠したままの悲観精神

まごうことなき正直を見つけてる桜の下の壊れた死骸

暗がりで見つけた犬の目は丸い精神論なら間に合っている

火炎瓶選挙カー群れ投げつけてどういう罪になれるのだろう

平和だと思う満員電車中サラリーマンはジャンプ片手に

2015年5月8日金曜日

過去の短歌 窓窓窓に

冷たさも固さも黒さも知っている毒素混じりの可愛い恋よ

青空の端を切り裂き飛行機の金属部品がギラギラ光る

ギシャギシャと油が足りぬ自転車に少年Aの独り言聞く

濃色のコート蹴飛ばす風が吹く悪魔みたいな形していて

雷と雨風渇き夜会巻き生々しいほど金具が光る

世の中は満ち足りて鮫泳ぎ出す遠い水族館の斑点

黒服の休憩発光白いシャツ客引き避けて行け行け空虚

電球の切れかけ点滅信号と頭痛のシンクロ眠れない夜

ビルの窓反射していく電気車両窓窓窓に自分が映る

戸締りが永遠に終わらぬ夢を見る砂を吐かない貝に似た朝

2015年5月1日金曜日

題詠blog2015の事(3)

021:小
かわいくも小さくもないあくびしてあなたの髪に手ぐしを通す

022:砕
できるだけ醜く固い武器がほしい罪悪感を砕けるほどの

023:柱
二人して初冬の甘い氷柱噛む心は見えないからいとおしい

024:真
減らず口叩いて起こす持久戦真綿で首を絞めてやるから

025:さらさら
パステルのださいメタリックなピンクか弱さ持つ気はさらさらないの

026:湿
陰湿で片付くほどにかわいくて体内に飼う汚い悪魔

027:ダウン
終わりへのカウントダウン始まってあなたは猫を抱き締めている

028:改
知らぬ間に更改しゆく春の木々hallelujah叫ぶひたむきさ持ち

029:尺
無視をした舐め取る視線蛇のよう尺骨橈骨並べ玉骨

030:物
贖物に欠けたグラスの口紅を拭う手指のか弱さ強さ