2014年11月28日金曜日

2014年10月の短歌(2) ファイナルガール 

真っ白の皿を汚して飯を食う青い舌先野蛮を愛せ

石けんを使わぬシャワーで流される汚れたわたしは何なんだろう

要するにゾンビ映画で逃げ惑うファイナルガール目指したいのよ

柔らかな空気の穴を膨らます君の作ったまずいケーキは

ゼットンが怖くて背けたその記憶負けたまんまの光の戦士

その指を魚介の類に例えては不味そうなんて考えている

ぶるぶるとお鍋の中で沸いていくお豆腐みたいな怒りを抱え

セクシーな金髪美女に誘われ今宵も安い酒を買い込む

おそうしき、小さき声でつぶやかれ砂庭埋まる壊れた玩具

新しいワンピース着て良く爆ぜる栗の鎧を脱がしにいこう

恩知らず恥知らずだと笑う人よけて傾く裸足の廊下

ぼんやりと人を蔑む程度には醜くっても開く饗宴

終電車サラリーマンの胸元に温まってく少年ジャンプ

ぶつ真似はしなくてもいい背中から滑る円力防水ジャミラ

生きたくてもがいた末に死にたくて結局きょうも空が紺色

誰にでも優しいんだと知っている馬鹿だと言うとそうねと笑う

週末に空から天使落ちてきてついでに私を潰してみろよ


2014年11月14日金曜日

テーマ「一」 うたらば第69回

うたらばさんで、「一」というテーマで
短歌募集をされていました。採用歌で気になったものをご紹介。

退屈な夜を迎えるのが嫌で一等星にあだ名をつける
(大木はちさん)

(世界一さみしい音はなんだらう)市バスのドアが開いて閉まる
(伊波虎英さん)

どうしようもなく孤高の存在ではあっても、
周囲にはたくさんの事物が溢れている、
数字の一についてはそんな印象がある。
Theではなくaに対しての、柔らかい憧れがあるというか。

自分は下記を投稿。過去歌。

覚悟とか一生かけてもできないや秋味ビールのあぶくは琥珀

甘辛煮茄子の切り込みやさしくてもう一度だけ君を抱きたい

2014年11月7日金曜日

2014年10月の短歌(1) 四半期追従

明日は晴れよしんば誰か祈るでしょサプリメントの亜鉛はまずく

エンドレス四半期追従白熱の締日連鎖で消えるぷよぷよ

溜め込んだ泥沼のなか脳だけが自己主張する刺さる痛覚

立ち並ぶ高層ビルの夜景群きれいと思えないのはいつから

持ち帰る荷物の重さ何もかも知らなくていい時もあったね

金曜日にくいつらいが連なって甘くて重いケーキになるよ

新しい星座を一緒に作ろうかゴミ箱型の点を繋げる

関係の終わりが見えて靄がかるやたら愛しい跳ねる襟足

あらゆると弛むゆるゆる流れ出す許す赦さず燃る夕鶴

反撥の所以だれかにかしずいた弔い文句捨ておく真昼

祈りつつ墜落してく雨の甲わたしにくださる後悔のあと

色校に乳房の肉を指定する赤鉛筆の硬い爪先

救済の童話聞かせて眠らせる君の非を責めつややかな頬

ダメじゃないサジタリウスの歌唄い宇宙の果ての私を愛せ

舌を出し白目を剥いて覆すさみしいなんて容易じゃないよ

呼ばれたらすぐ来ることを知っていて消せない電話番号がある

白和えの味付けに住むお母さんユウくんエリちゃん知らぬ人妻

後悔を(ポクポクチーン)する事に(ポクポクチーン)慣れてはいない

駅ホーム先頭で待つ人たちへ墨黒の羽背中に生えて