2014年8月29日金曜日

題詠blog2014の事(6)

051:たいせつ
愛するの代わりに訳すご大切友を連れ去る神様はいま

052:戒
戒めを説く人々の息荒く空を見上げりゃミサイルが降る

053:藍
藍色の不安選んでコレクション何処かで何か狂う手前で

054:照
照れながら噛み付くようなキスをする本当の事誰も知らない

055:芸術
爆発し情熱を持つ冷淡さ求むるものは凡庸を絶ち

056:余
その笑顔余分な甘さ好きじゃないもっと下品な皮肉が見たい

057:県
隣県に嫁ぐと噂聞きました初恋であった筈の誰かの

058:惨
アーモンドバターケーキの楔打つ惨めな夜は甘やかす舌

059:畑
明後日はライ麦畑で捕まってハイエナみたく笑う約束

060:懲
性懲りも無く君好きな私です痩せた手繋ぎたらたら歩く

2014年8月22日金曜日

2014年7月の短歌 拡声器持ち

ガラスびん、瓶では無くてびん、と書く優しい人と錯覚をする

選ばれるたべっこどうぶつ手で遊ぶ傲慢強く幼さを食む

ああこれは戦い方を知っている目だけで笑う悪い女だ

欲しがった強さはこんなに弱くって君の理屈を曲げられもせず

声変わり前のどろどろげろげろの声で歌った大地讃頌

わあわあと意味無く言葉繋げては拡声器持ち過ぎ行く未来

怒鳴り合う殴り合うこと前提に例えば一緒に暮らしてみよう
うたの日初参加)

安心をお金を出して買ったなら私で不安を買ってみないか

恐怖とはある種のポルノグラフィと語られるから散らす褐色

ああそれはとくとく続く痛みだな恋に恋する難儀な人は

桜舞う新百合ヶ丘見逃した君が乗ってた筈の快速

犠牲的自己愛深く深々くレモン氷の黄色に刻む

早急に済ませてしまえ自慰のごとくらくら揺れる私の呪い

飛び降りて楽になるならするけどさ気だるい色気口調で語る

豚として売られるさだめであったかも知れぬ命を落とす流星

あたしはねあんたのことがきらいなの笑顔口角伝わる私情

皮肉にもエスターブリッシュ打ち負かし訳の分からぬ今宵を閉じろ


2014年8月8日金曜日

テーマ「後」 うたらば第64回

うたらばさんで、「」というテーマで
短歌募集をされていました。採用歌で気になったものをご紹介

活躍をしてねその後は順調に挫折をしてね、応援してる。
(たえなかすずさん)

はじめますじゃなくてはじめましたって事後報告で来た夏も往く
(山田水玉さん)

正直、ずるい、と思ってしまった。
夏は容赦なくやってきて、また名残を惜しんでも
勝手に過ぎ去っていくようなどうしようもない恋みたいだ。

自分は下記を投稿。酔っぱらった勢いで投稿する迷惑千万クオリティ。

理由など全部が全部後付けの論理で括る被害妄想

夏の雨他の誰かが好きだって後から聞いて濡らす制服

地球儀を回して世界一周を目論む人の後頭部見ゆ

情欲と常識かける天秤に少しの後ろめたさを乗せる

改札をくぐらなかった後悔と誰かの笑顔思い出してる

安っぽい陳腐な後ろめたさですギブミーギブミー愛をください

猫ちゃんの後頭部ばかり気にしてる君が愛しい猫が愛しい

2014年8月1日金曜日

題詠blog2014の事(5)

041:一生
「キスして」も「殺して」も全部その口で言うまできっと離さないから

042:尊
安っぽい証書に太く記される仰げば憎し我が師の恩を

043:ヤフー
ヤフーヤフーこちら只今屋上で君の名前を叫んでいます

044:発
全部全部全部全部発破かけ眉間の皺を小指で伸ばす

045:桑
なるようになるさ桑の葉その口で上品に食う蚕のように

046:賛
サンセイ、と自動再生されていく屠られた豚吊られて揺れる

047:持
持つべきと持たざるべきを逡巡す赤子てのひら詰まってる肉

048:センター
十五歳極度にしなる右腕の放物線はセンターを越え

049:岬
底深く貪るような愛がありやがて岬にいたる空船

050:頻
君の前頻り震える両の膝張り詰められた蜘蛛の巣の糸