2014年4月25日金曜日

2014年3月の短歌 嘘つきクラブ会員の

この先は安全地域じゃありません安全地獄が控えてるだけ

贅沢で嫌になる程潰し合う愛ある感じでお願いします

望んだら与えられると人は言う努力している人たちは言う

ふあふあのクリーム添えたパンケーキ女子なら好きって言っちゃう暴力

守られる非力であると花語る金鋏から首が濡れてく

執着を示して動け我が体かたいコーヒーゼリーの夕べ

白黒のいつかの誰か呼び出したモンタージュ影わたしに似てて

道端の吐瀉物並に愛を点くだって自分じゃどうしようもない

起き抜けの服の皺でも数えてろ幸運なんぞ頼りにしない

辛辣な人のメリットデメリット例えば君が好きであるとか

くだらない運命論を吹き飛ばせ!汚泥の上も裸足で走る

終わりまで全部知ってはいないからしまいこんでる切れないナイフ

熱を持つ悪食の為のアルマイト私ごと食べ尽くしてしまえ

感傷を言語化しても生きられる弱くていいから獣になりたい

何らかをくすねあぐねて空を撃つひ弱い意思を左手に持ち

第一に嘘つきクラブ会員の約款にある「愛を持つこと」

あった事無かった事にしましょうね添えた陰膳薬味が香る

鍵の先尖った部分持ったままパラノイアだと決めつけ落ちる

恋じゃないお喋りだけでこんなにも唾液は甘くなっていくのに
3/14企画:甘い気持ち

ミステリとケーキセットは二回転誰も私を知らない町で
 (#カフェたん企画

頭だけ残す魚と目が合って生きる意味などあるのかしらん 
第19回ときどき歌会・自由詠)


カフェたん選んで貰えて非常に嬉しいです。

2014年4月18日金曜日

テーマ「切」 うたらば第59回

うたらばさんで、「切」というテーマで
短歌募集をされていました。採用歌で気になったものをご紹介。

人間の頭と同じ大きさのキャベツを すとん 半分に切る
(あみーさん)

内省の時間と思うキッチンに葱を切るためうつむくときは
(高松紗都子さん)

台所中心。
台所に広がる宇宙空間というか、料理していると冷静になります。
人間の頭の大きさのキャベツを切る時の潔い音、
葱を切る時の涙が流れてくる事。
誰かの存在ではなく、自分一人の空間の中へ向かう。

自分は下記を投稿。採用にはいたりませんでしたが作ってて楽しかった。

左手でちぎるアドレスSの項ラインマーカーきみの痕跡

半分にホールケーキを切り分ける超幸せでいさせてあげる

切りがない欲望などを持っちゃって月に吠えてはいるのです、まだ

2014年4月11日金曜日

題「塔」 歌会たかまがはら3月号

短歌募集をされていました。採用歌で気になったものをご紹介。

手の中の檸檬が人を殺すほど高い高い高い高い場所
(黒崎立体さん)

黒崎立体さんは詩も書かれている方で、いろんな媒体で
お見受けするけど、感受性の豊かさにいつもビックリする。
言葉の力強さをいつも感じさせて下さる方です。
塔、というちょっと難しい題詠でもこの力と個性、すさまじいです。

自分は下記を投稿。採用歌を見てから見ると
なんと腑抜けていることか。短歌採用されてないのに
番組で質問採用されたり。お恥ずかしい。

積み上げてきたこと全部壊してく伝わる言葉持たない二人

アパートの給水塔の光る午後走れ走れよ小さい背中

電波塔越して眺める梅の花負けてもいいとやさしく笑う

ちょっとだけ足りない分は背伸びして東京タワーとキスをしてみる